「熊野大学聴講生による熊野を語る会」第1回の内容報告②(記:管理人)

前回の続きです。
和歌山県広報課にお勤めのH女史(当会呼びかけ人のおひとりでも
あります)から、『中上健次が熊野の先に見ていたもの』と題して
発表がありました。「熊野と中上健次を語る導入になればと思い、
分りやすいお話を中心に」と仰りながら、40分近くをかけての力
演です。
 
自然と人間とが一体となり、神仏とともに住み暮らして来たという
日本人古来の精神文化の源流が、紀伊半島にはある。それは”血”を
呼び覚ますものであり、中上健次の小説世界にも重要なテーマとし
て表れている。熊野という土地には、南方特有の1年を通して楽に暮
らして行かれる大らかさがあり、この大らかさが、多神教を受入れ
たり自然の恵みと脅威の両方を受入れ折り合う柔軟性といった日本
古来の精神文化の、ことさらに力強い源と成り得ているのではないか。
そして中上さんはこの日本人の大らかさ,逞しさ,強さを熊野の先に
見て、改めて強力にメッセージを発信する必要を感じていたのでは
ないか。
 
およそそのような内容のお話を、時に自由な想像力の飛翔を交えつつ
ユーモラスに展開して下さいました。もっといろいろな題材がたくさ
んちりばめれられていたのですが、私の力不足で拾いきれませんでし
た。済みません。雰囲気だけでも察して頂ければ幸いです。